議員日誌131    地籍調査

 国土調査法という法律があります。国土の開発、利用の高度化を図るため、国土の実態を科学的に調査することを目的とします。この科学的実態調査を地籍調査と言います。一筆毎の土地(番地ごとの土地)について、境界を決定し地積に関する測量を行い、土地の正しい形状、地目、地番を明らかにし、その結果として地図(これを地籍図という)と簿冊(これを地籍簿という)を作成します。

 基本的に、境界立会で土地の境界を決定するのですが、隣接する土地所有者間に争いのない場合現状が優先されます。現状とは違う過去の測量図や公図と呼ばれている法務局備え付けの地図は参考であり復元のための資料ではありません。地籍調査を経ていない区域の公図は元々測量技術・精度に問題があり、これを信頼するには危険です。また、公図が実生活上表に出る機会がなかったため、何十年もの間に土地の境界や形状、状態が変動してきて、復元する意義がなくなっているという問題もあります。

 しかし、地籍調査の現場では、しばしば現状とは違う過去の形状を復元することが行われます。かえって関係土地の所有者に面倒な手続きを強いる結果となります。調査員(市の職員)にはそれなりの基準や根拠があってのことでしょうが、遵法性(規則や基準を厳格に適用する意義)を優先するのか、善意無過失な市民の時効取得的利益を優先するのかが問われています。

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