議員日誌205   相続問題②    H25 7.25

 知人から「息子が死亡したが事業で多額の負債を抱えていたので困っている」という相談がありました。息子さんは独身で、子供もありません。財産は預金が少々で、不動産はなく、明らかに債務超過。知人には相続放棄を勧めました。このような場合、息子さんの債務は親に相続されてしまうからです。手続は家庭裁判所へ出向けば比較的容易に行えます。ただし、3か月以内という原則があります。

 一般的に、親は息子の財政事情をあまり知りません。同居していれば別ですが、どの程度資産があるのか債務があるのか知らないのが普通です。また事故や急病で亡くなる場合、心の整理がつくまで時間がかかります。ですから、息子が死亡して相続を放棄する判断など3か月では足りないように思います。更に続きがあります。親が放棄した場合、民法では次順位として兄弟に相続権が移ります。当然兄弟も放棄することになるでしょう。知人の場合もそうでした。ただ、兄弟に子供がいても兄弟が放棄すればその子供には相続権は移りません。

 相続放棄の場合は、被相続人の配偶者、子、親、兄弟(兄弟が先に死亡していればその子)が連続して手続をすることになります。一般の相続手続きは法定相続人が一人でも抜けると手続が進みませんが、放棄の場合は単独で進みますので、抜けた人は債務を負うことになります。注意が必要です。親や息子の死亡に際してなら債務の心配もやむを得ませんが、所帯を持った兄弟や伯父の場合は現実的には先方から相談があるまで動けません。現実には困ることが沢山あります。

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